ジンジャークッキー、ジンジャーブレッド
イギリス生まれのスパイスクッキーは、生姜がた〜っぷり入って『ジンジャークッキー』と呼ばれます。そんな英国でスーパーの棚にあまたの生姜入り食品が並ぶのを見るとイギリス人の生姜好きを実感するのですが、それは彼らの味覚と生姜の相性が良いから…に加え、長い歴史が育んだ「イギリス人の生姜好き」もあるようです。
そのきっかけとなったのは16世紀 国王ヘンリー8世(1491~1547)が健康促進、疫病対策のために生姜の摂取を推奨するおふれを公布したことでした。これにより 国民に生姜の薬理効果が浸透し、たくさんの生姜レシピが生まれました。そのうちの1つが『ジンジャークッキー』もしくは、『ジンジャーブレッド』だったのです。
その後即位されたエリザベス1世(1533~1603)は自身の姿や彼女に取り入る求婚者や政治家に似せて人形クッキーを作らせ、金箔や砂糖のアイシングで装飾…このカラフルでゴージャスなジンジャーブレッドを饗宴で披露し、お土産にも使用したと伝わります。女性らしい細やかな演出は意表をついて、効果を奏したに違いありませんね。こうしてなんとも華やかな人形のジンジャーブレッドが誕生したのでした。
16世紀半ばイギリスは侵攻して領有した西インド諸島のジャマイカ島に生姜やサトウキビの苗を移植します。栽培は順調に進み、乾燥生姜や砂糖がイギリス本国にむけて大量に輸送されるようになると、17世紀に入る頃にはジンジャーブレッドは庶民の生活に浸透し、教会での日曜礼拝や縁日などに屋台が出て人気を集めます。
エリザベス女王はウインザー城の広間にもみの木を飾って子供達と楽しみ、愛犬ラッシュにはジンジャークッキーをプレゼントしたと伝わります。そうした王家の団欒風景が新聞に掲載されると、庶民にもクリスマスツリーを飾り、ジンジャークッキーやクリスマスティー、ホットワインを楽しむ現代につながるクリスマススタイルが浸透していきました。(1848年)
ジンジャークッキーレシピ
《材料》約30枚分
バター 100g
粗製糖 100g
卵 1個
薄力粉 200g
強力粉(型抜き用) 適量
シナモンパウダー10g (大1と2/3)
ジンジャーパウダー 小1/2
ナツメグパウダー 少々 … お好みで
クローブパウダー 少々 … お好みで
《作り方》
① ボウルにバターを入れ、ホイッパーでクリーム状になるまで混ぜます。
② 砂糖を2~3回に分けて加え、全体が白っぽくなるまでよく混ぜます。
③ 溶き卵を加え、さらに混ぜます。
④ 粉類(薄力粉・スパイスパウダー)を振るいながら加え、ホイッパーを木べらにかえて、切るように混ぜます。
⑤ 粉っほさがほとんどなくなったら手でまとめます。…生地が手につくようなら薄力粉を少々(分量外)足しましょう。
⑥ ⑤の生地を手で押え付け、平らにしてラップで包み、冷蔵庫で30分間以上ねかせます。
⑦ 台にラップを敷き、生地をのせ、上からラップをかぶせてめん棒で3mm厚さにのばします。
⑧ 抜き型に強力粉をつけながら型抜きをします。
⑨ 抜いた生地を天板に並べ、170℃に予熱したオーブンに入れて10~12分…こんがり焼き色がつくまで焼きましょう。