ご無沙汰しました…
久しぶりに「釘のような形をした甘い香りの
スパイス」:『クローブ』のお話といたしま
しょう。
肉食中心のヨーロッパで、『クローブ』は
『胡椒』とともに、肉の保存や調理の風味付
けに欠かせないスパイスだったのですが、その使い道はそれだけにあらず!
中世ヨーロッパで死の病として恐れられ、
大流行した際には、人口の6割が命を落とした
とされる死の病『黒死病:ペスト』
当時その原因は「汚れた空気」と考えられてい
たため、感染者を診察する医師は、天狗の鼻?
はたまたカラスの口ばし?とおぼしきマスクの
中にクローブやサフラン、胡椒やハーブを詰め
て診察に当たっていたとの記録が残されていま
す。古来クローブや胡椒の殺菌・抗菌作用は
よく知られていましたから、スパイスにフィルター効果を期待したというワケですね
さらに感染者がでた家や、病院で汚れた空気を清浄化するためには、ローズマリーの
枝を燃やしたそう…
北里柴三郎博士がペスト菌を発見するのは19世紀末で、有効な抗生物質が見つかる
のは、さらに もっと後…
それまで人類は感染の恐怖やその対策に、藁をもつかむ思いで、ハーブやスパイスの
もつ薬効にすがるしかなかったんですね。
天狗の口ばしマスクに託した真剣な思いが伝わります。