Farrerʼs Tea & Coffee House ファーラーズ ティー&コーヒーハウス
ファーラーズは湖水地方の街ケンダルにある、200年続くティー&コーヒーハウスです。
湖水地方の玄関口であるウィンダミアへ向かうには、オクセンホルム駅 Oxenholme The Lake Districtで湖水線 The Lakes Lineに乗り換えますが、そこから一つ目の駅がケンダルです。反対にウィンダミアからケンダルへ向かう場合は、路線バス555番を使うと便利。約20分ほどでケンダルに到着します。
1世紀にローマ人がケント川の岸に砦を築いたことから集落ができ、1189年リチャード1世がケンダルの男爵:ギルバート・フィッツ・レンフライド Gilbert Fitz-Renfried に、サタデーマーケット開催の許可を与えたことを機に繁栄 中世以降は、羊毛産業の中心地となってきました。
ファーラーズ
ファーラーズはそんなケンダルの町の緩やかな坂になった大通りを上り切ったところにあり、歴史を感じる可愛らしい姿は存在感たっぷり!楽しく素敵なティータイムの予感に期待が高まります。
ファーラーズ ファサード
歴史を感じる建物は1637年に住宅として建てられたもので、1階に残る暖炉に刻まれた1644の文字が創建当時を伝えています。
建物創建当時のまま残る暖炉
1800年代初めにお茶やコーヒー、ココア、精糖を売るショップとなり、1819年にそれを買ったのがジョン・ファーラーズ 以来200年以上に渡って「ファーラーズ」の名前でお茶、コーヒーを販売してきました。
お店に入って最初に目につくのは、紅茶を販売する19世紀から使い続けられるカウンター その背後には1から20まで数字が描かれたオリジナルのキャニスターが並び、お客さまのオーダーに応じて計り売りする茶葉が入っています。
1Fの販売カウンター
1階フロアでは紅茶や食料品、ティーポットなどお茶に関係したグッズが販売されていていますが、上層階はティールームになっています。そしてその2階のコーヒーを販売するフロアの床板は、200年前の“クリッパー”からリサイクルしたものだとか。
クリッパーは主に19世紀に中国から一刻も早く茶葉を輸送するために設計建造された帆船です。船底にいっぱいに茶葉を積んで大海原の風を捕え、一刻も早く本国に茶葉を届けようと運ばれた紅茶 それを提供しようと開店したファーラーズで、その頃に思いを馳せながらいただくお茶は格別です。
(左)ファーラーズ 2階フロア
(右)階段脇に置かれたコーヒー・グラインダー
大きなコーヒー・グラインダーは1853年製 筋骨たくましい男性が身体をいっぱいに使ってグラインダーを回す姿が目に浮かぶようですね。
使い込まれた板張りの床や、踊り場のある階段、暖炉、飴色の家具 トラディショナルで落ち着いた雰囲気のとても居心地が良い空間で紅茶、コーヒー、スコーン、ケーキはもちろん、充実のランチメニューもいただけます。
ファーラーズのスコーン
プレーンに加え、全粒粉スコーン、フルーツスコーン 、チーズスコーンと多彩なスコーンは現当主レベッカさんが当日の朝焼いたもの 地元産のクロテッドクリームが添えられています。
(左)フルーツスコーンとファーラーズのオリジナル紅茶「レイクランド・スペシャル」
(中)プレーンスコーン
(右)全粒粉スコーン
ファーラーズの紅茶
ファーラーズのお茶の中で、一番人気は「レイクランド・スペシャル」
湖水地方の水は日本と同じ軟水です。「レイクランド・スペシャル」はその軟水に適した力のある上質なセイロン茶葉をベースとしたオリジナルブレンドで、ミルクともよく合います。そして
故エリザベス2世女王陛下のプラチナ・ジュビリーの記念として、中国の“キームン”とインドの“ダージリン”をブレンドして作られた「ジュビリー・ブレンドティー」やファーラーズ創立200年を記念して作られた“ベルガモット”を入れたアールグレイ調のお茶「アニバーサリー2019ティー・ブレンド」はストレートで淹れて香りを楽しみながら飲みたいデリケートで優しいお茶
たちです。
ファーラーズのコーヒー
コーヒー豆は2階のカウンターの背後に並ぶラインナップから量り売りで購入でき、2019年にファーラーズの200周年を記念してブラジル、コロンビア、グアテマラ、インド、メキシコから5種類のコーヒーを選んで作られたアニバーサリー・ブレンドをはじめとしたオリジナルブレンドが揃います。
こちらの紅茶やコーヒーは、地元でとても愛されており、レストランやティールームはもとより、ホテルやB&Bのお部屋に電気ポットと共に置かれているのもファーラーズの紅茶やコーヒーで、時が育んだ地元の人たちの愛着がさらにおいしさを増してくれそうな風景です。
ファーラーズ 店主レベッカさん来日 阪急英国展に出店!
2024年10月 阪急英国展が開催され、ファーラーズの紅茶やスコーンそして店主のレベッカさんが日本にやってきました。ファーラーズの紅茶に加え、特設のオーブンでレベッカさん自らが焼くスコーンやジンジャーブレッド、デーツスライスなどが提供されるという贅沢な企画に、連日お客様が絶えない盛況ぶりでした。
私も列に並び、スィーツ全ラインアップを購入 湖水地方を想いながらいただきました。大阪で暮らす娘家族にも大好評でしたょ。
(左)阪急英国展 ファーラーズ出店コーナーにて
(右)7月現地でショップを訪問して以来4ヶ月ぶりのレベッカさんは、連日の催事ながら、溌剌チャーミングな笑顔は健在! ファーラーズの味と香りを日本に届けてくれていました。
ファラーズの紅茶は日本の水道水で現地とほぼ同じ風味に抽出でき、綺麗な水色も楽しめます。今年を逃してしまった方は来年足を運ばれてみてはいかがでしょう。イギリス ケンダルにあるショップのショウケースに並ぶ美味しくヘルシーなお菓子たちを購入できるのも魅力です。
(左)ケンダルのショップ ショウケースに並ぶスィーツたち
(右)阪急英国展ファーラーズコーナーで購入したデーツスライスとジンジャーブレッド