ヴィクトリアサンドイッチケーキ
今から200年ほど前 当時の王族としてはまれな恋愛結婚で結ばれたヴィクトリア女王とアルバート公は結婚後も仲睦まじく、4男5女にも恵まれます。精力的に公務をこなし、忙しい夫婦は、子供たちと一家で休暇を過ごすために別荘をもちました。
夏の休暇を過ごすために、ハイランド:スコットランドの北方地域にあるバルモラル城 冬の休暇を過ごすためには、イギリス本島から南へ4マイルほどのところにある小さな島:ワイト島のオズボーン・ハウス どちらもそれまであった建物をアルバート公の設計とアイディアで大幅に手を入れて改造したお気に入りの宮殿で、細かい所まで手を掛けて大切にしたと伝わります。
夫婦はこの別荘で子供たちと休暇を過ごし、その姿は国民の憧れであり、模範ともなっていました。
『1840年の王室』ヴィクトリア女王在位10年目の一家
公才気溢れ愛妻家のアルバート公と子供たちに囲まれて幸せの日々を過ごしていたヴィウトリア女王ですが、アルバート公が42歳の若さで急死されると、悲しみのあまり市民の前に姿を見せることもなくなり、幸せの思い出が詰まったオズボーン・ハウスに引きこもることが多くなります。そんな傷心の女王を慰めるため用意されたのが2層に別れたスポンジの間にジャムが挟まれたケーキでした。成長した子供たちが集まって催されたパーティーでもこのケーキがふるまわれたといいます。
温暖な気候に恵まれたワイト島のオズボーン・ハウスのお庭で摘まれたラズベリーを使って作られたジャムをサンドしたケーキが「ヴィクトリアサンドイッチケーキ」と呼ばれるようになったのは、女王が亡くなってからのこと。
以来イギリスのケーキの定番中の定番! イギリスを代表するケーキとして愛され続けているのです。
レシピの初出は1861年のイザベラ・ビートン女史によるベストセラー『Household Management家政の書』
そのレシピはといいますと、卵4個ぶんの重さを計ったら、それと同量の小麦粉・砂糖・バターを使って作る…パウンドケーキでした。 当時すでに重曹の使用が始まっていましたが、ビートン女史のレシピでは、重曹は使わず、すべての材料を混ぜ合わせたら、10分かき混ぜて、生地に空気をたっぷり含ませてから型に入れてオーブンへ…
市民の家庭にもオーブンが設置されるようになって、ケーキ作りも盛んになってきた頃のこと こうしてヴィクトリア女王お気に入りのケーキのレシピを市民もシェアできるようになっていったのです。
こちらでご紹介するレシピもお砂糖を少々控えてはいるものの、その生地はほぼパウンドケーキです。軽いテクスチャーのスポンジが好まれる昨今ですが、ここは 女王陛下のお気に入り 王道のレシピをお試しあれ… 濃いめに淹れたミルクティーに合うことこの上なしですから^_^
ヴィクトリアサンドイッチケーキ レシピ
《材料》(18cm型1台分)
無塩バター 170g
グラニュー糖 150g
卵 3個
牛乳 60cc
薄力粉 170g
ベーキングパウダー 小1
いちごやラズベリーなどのジャム 適量
粉砂糖 適量
《作り方》
① 材料を全て室温に戻します。オーブンは180度に余熱しておきましょう。
② バターと砂糖を良くすり混ぜたら、卵を少しずつ加えてその都度良く混ぜ合わせます。
③ 薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい入れ、ゴムベラで練らないように混ぜ合わせます。
④ ③に牛乳を加え、全体がなめらかなクリーム状でツヤが出るまでゴムベラで混ぜ合わせましょう。
⑤ 型に流し入れ、180℃で15分、その後170℃に落として30分焼きます♪
⑥ 焼き上がりは竹串を刺して確認します。生地がついてこなければ焼き上がりです。
まだ…の場合は170℃で5分ずつ追い焼きして、様子をみてください。
⑦ 焼きあがったらオーブンからだして冷まします。
冷めたら型から出して横に2等分にし、下の生地にジャムを塗って上の生地をのせます。
お好みで粉糖をふって仕上げます。
*卵、牛乳は早めに冷蔵庫からだして、室温に置いておきましょう。冷たいと分離しやすくなります。
ラズベリージャム
スポンジケーキを半分にカットしたら、サンドするのはいちごジャム?それともラズベリージャムにしましょうか? それぞれ魅力的ですけれど、ぜひラズベリージャムを作ってお試しになってみてください。旬の時期に摘み取られて冷凍された実をジャムにすると、市販品では味わえない美味しさと香りを楽しめます。
《材料》
冷凍ラズベリー 230g(冷凍品)
グラニュー糖 100g
《作り方》
① 小鍋にラズベリーを入れ、水50mlを加えて弱火で熱し、ラズベリーを半解凍にします。
…ミキサーにかけるので完全に解凍させる必要はありません。
② ラズベリーをミキサーにかけてペースト状にしたら、目の細かいザルで、ラズベリーの種を濾し取ります。漉さずにジャムにすると、種がお口に入って自己主張しすぎる危険あり!この作業は欠かさずに…
③ ②を鍋に戻し、再び火にかけます。ヘラを鍋底にあてながらゆっくり動かしながら加熱を続け、沸騰したら弱火にしてあくをとりながら2分ほど過熱し、砂糖を半量加えます。
④再び沸騰したら残りの砂糖を加え、粘り気が出たら出来上がりです。
*冷めると粘度が増しますから、火を止めるタイミングは、お好みより少しペーストがゆるい状態を目安にしてみましょう。冷めるとちょうどよい具合に…